「楽天の田中」と言えば、プロ野球ファンの多くはいまだに「マー君」こと田中将大(現ヤンキース)を思い出すことでしょう。
しかし、今売り出し中の「楽天の田中」と言えば、田中和基(楽天)です。
この選手は、将来「レジェンド」と呼ばれるような大選手になるかもしれません。
目次
今季、一番打者として18本塁打!
田中は2016年、ドラフト3位で立教大学から楽天に入団しました。
ルーキーイヤーの昨年は、主に代走や外野の守備固めとして51試合に出場。わずか59打席で打率は.111に終わったものの、チームトップの7盗塁を記録しました。
2年目の今季も開幕当初は代走・守備固め要員でしたが、5月下旬から中堅手のポジションを獲得。
現在は、楽天の若きトップバッターとしてチームを牽引しています。
今季の田中の成績はこちらです。
.268(447-109)18本 44打点 35四死球 21盗塁 OPS.757
持ち前のスピードは健在で、今季もチームトップの21盗塁は見事です。
しかし、それよりも素晴らしいのはやはり本塁打数でしょう。昨年一軍で1本塁打(二軍では42試合で6本塁打)だった田中が、ここまででなんと18本塁打を記録しています。
ちなみに昨年まで、楽天の生え抜き野手で2ケタ本塁打を記録したのはわずかに2人だけでした。
茂木栄五郎(2017年)
.296 17本 47打点 OPS.867
島内宏明(2017年)
.265 14本 47打点 OPS.743
2004年のチーム創設以来、慢性的な長打力不足に悩まされてきた楽天において、今季の田中の18本塁打は生え抜き野手としてはすでに球団史上最多記録です。
しかし、私は今季残りの4試合で田中に何とか「あと2本」ホームランを打って、20本塁打の大台に乗せてもらいたいと思っています。
もし田中が今季20本塁打を達成すると、記録的にいろいろと「凄い」ことになるからです。
楽天の日本人野手の本塁打ランキング!
田中が「あと2本」ホームランを打つと、まず、生え抜き以外も含めた歴代の楽天の日本人野手で「延べ」6人目のシーズン20本塁打達成者になれます。
それでは、過去の達成者「延べ」5人を本塁打数の多い順にランキング形式でご紹介します。
1位/山崎武司(2007年)
.261 43本 108打点 OPS.936
2位/山崎武司(2009年)
.246 39本 107打点 OPS.847
3位/山崎武司(2010年)
.239 28本 93打点 OPS.749
4位/山崎武司(2008年)
.276 26本 80打点 OPS.842
5位/山崎武司(2005年)
.266 25本 65打点 OPS.867
…はい。もはや「お約束」ですが、お察しの通り全員山崎です 笑
つまり、田中は「山崎以外」の楽天の日本人野手初となるシーズン20本塁打を狙えます!
日本人スイッチヒッターの20本塁打達成者は?
次に、田中は「右投げ両打ち」、いわゆるスイッチヒッターなのですが、過去30年間(1988~2017年)で日本人スイッチヒッターとしてシーズン20本塁打を達成した選手はこの2人のみです。
松永浩美(元オリックス他)
1990 .284 21本 70打点 OPS.850
松井稼頭央(西武)
2000 .322 23本 90打点 OPS*.850
2001 .308 24本 76打点 OPS*.861
2002 .332 36本 87打点 OPS1.006
2003 .305 33本 84打点 OPS*.914
1人目の松永は1980年代から1990年代にかけて、主に阪急~オリックスで今季の田中と同じく一番打者として活躍しました。
1988年は1厘差、1991年はなんと4毛差(!)と「超」僅差での打率2位が2回。結局一度も首位打者獲得はなりませんでしたが、打率3割7回、通算1904安打の大打者でした。
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ちなみに、田中は今季8/1のオリックス戦で史上18人目(41回目)となる「1試合左右両打席本塁打」を記録しましたが、松永はその「1試合左右両打席本塁打」を6回(歴代2位)も記録しています。
2人目は、先日今季限りでの引退を発表した松井です。
松井は初めてフル出場を果たした高卒3年目の1996年は、130試合に出場してわずか1本塁打という非力な打者でした。
しかし、そこから年を追うごとにパワーアップして本塁打を増やし、2000年からは4年連続20本塁打以上。2002年は上記の成績に加えて33盗塁を記録し、見事「トリプルスリー」を達成しています。
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田中は、昨年楽天でともにプレーした大先輩・松井以来の日本人スイッチヒッターによる20本塁打を達成できるでしょうか。
「25歳以下」で「20本塁打・20盗塁」達成者は?
今回、最も「凄い」のはこの記録でしょう。
田中は上述したように、今季21盗塁を記録しています。したがって「あと2本」ホームランを打つと「20本塁打・20盗塁」を達成することになります。
大卒2年目の田中は現在24歳。このパワーとスピードを併せ持った選手の証とも言える「20本塁打・20盗塁」を「25歳以下」で達成した選手は、過去30年間(1988~2017年)でわずか3人だけです。
イチロー(マリナーズ)
1995/22歳 .342 25本 49盗塁
松井稼頭央(西武)
2000/25歳 .322 23本 26盗塁
山田哲人(ヤクルト)
2015/23歳 .329 38本 34盗塁
2016/24歳 .304 38本 30盗塁
…もはや説明不要の3人ですね。
イチローは右翼手、松井は遊撃手、山田は二塁手として、全員「プロ野球歴代ベストナイン」に選ばれてもおかしくないほどの豪華な顔ぶれです。
ご存じの通り2015、2016年の山田は、2002年の松井と同じく「トリプルスリー」を達成しています。
「あと2本」打たなくても「レジェンド」確定?
いかがでしょうか。
もしも田中が今季20本塁打を達成すると、出てくる名前は山崎、松永、松井、イチロー、山田とまさに「レジェンド」ばかり。
やや強引すぎる気がしないでもありませんが 苦笑、田中にとって「あと2本」のホームランは将来「レジェンド」になるための「約束手形」のようなものなのです。
ちなみに上述しましたが、田中は2年目ですがルーキーイヤーの昨年の打席数は59。つまり、ギリギリ新人王の資格(野手…5年目までで前年までの一軍での打席数が60打席以内。)があります。
今季パ・リーグの新人王候補と言えば田中と、この選手でしょうか。
山本由伸(オリックス)
54試合 4勝2敗1S32H 防2.89 53.0回 46奪三振 WHIP1.06
高卒2年目で20歳の山本も開幕から奮闘してきましたが、9/19の楽天戦で1死しか取れずに5失点と大乱調。防御率が一気に上がってしまいました。
この山本との新人王争いを制するためにも、田中はぜひ「20本塁打・20盗塁」を達成しておきたいところです。
ところで、この「20本塁打・20盗塁」ですが、少しハードルを下げて田中がすでに達成している「15本塁打・20盗塁」だと、一体どれだけの選手が「25歳以下」で達成しているのでしょうか。
過去30年間(1988~2017年)の達成者は、上記のイチロー、松井、山田に加えて、この2人でした。
野村謙二郎(元広島)
1990/24歳 .287 16本 33盗塁
丸佳浩(広島)
2014/25歳 .310 19本 26盗塁
…う~ん。田中、今のままでも「レジェンド」確定!笑
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