2018年の沢村賞は、広島・大瀬良か?巨人・菅野か?それとも…。

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今、巷では「今季の沢村賞は一体どうなる?」という話題で持ちきりです!(ですよね?)

思えば昨年の今ごろも、誰が沢村賞を受賞するのか予想するのがかなり難しい状況でした。この2人の投手の成績が非常に高いレベルで拮抗していたからです。

菅野智之(巨人)
26試合 5完投 17勝5敗 勝率.773 防1.59 187.1回 171奪三振


菊池雄星(西武)
26試合 6完投 16勝6敗 勝率.727 防1.97 187.2回 217奪三振

関連記事:同時受賞もあり得るか?巨人・菅野と西武・菊池の激しい沢村賞争い!

結果的には、勝利数、防御率、勝率で菊池を上回った菅野が初の沢村賞を受賞しました。

しかし今季は、昨年とは違う意味で受賞者がどうなるのかまだわかりません。

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今季の「沢村賞候補」はこの2人

とりあえず、沢村賞について基本的なことをおさらいしておきましょう。

沢村賞とは、その年セ・パ両リーグで最も優秀だった「先発完投型」の投手を表彰する賞です。

ちなみに、沢村賞には以下の7項目の選考基準があります。(※全ての項目をクリアしなければいけないというわけではありません。)

●登板試合数/25試合以上
●完投数/10試合以上
●勝利数/15勝以上
●勝率/6割以上
●防御率/2.50以下
●投球回数/200回以上
●奪三振/150個以上

さらに今季から、「7回で自責点3以内」という沢村賞独自のQS率(通常のQSは「6回で自責点3以内」)が補足項目として採用されています。

そこで今季の「沢村賞候補」ですが、これはもうセ・リーグの大瀬良大地(広島)と菅野智之(巨人)の2人に絞られたと言って間違いないでしょう。

大瀬良の今季の成績は?

まずは、大瀬良の今季の成績を見ていきたいと思います。

26試合 2完投 15勝7敗 勝率.682 防2.59 174.0回 151奪三振

昨年、ルーキーイヤーだった2014年以来の10勝を挙げた大瀬良は、今季さらに飛躍しました。

援護率がセ・リーグの規定投球回到達者中トップの5.26を記録するなど味方打線とのかみ合いも良く、前半戦から順調に勝ち星を伸ばしました。

ここまでで、すでにキャリアハイ(10勝)を大きく更新する15勝を挙げています。これは、勝率.682とともにリーグ1位です。

それから、通常のQS率76.9%は両リーグ1位です。しかし、これが沢村賞におけるQS率(「7回で自責点3以内」)となると53.8%まで落ちてしまいます。

沢村賞の選考基準は、登板試合数、勝利数、奪三振をすでにクリア。勝率も当確ですので、現時点で4項目をクリアしていると言えます。

広島の今後の日程を考えると、おそらく大瀬良の今季の登板機会はあと1。残った項目でクリアする可能性があるのは、現在2.59の防御率のみです。

ということで、大瀬良の選考基準クリア数は最低で4項目、最高で5項目です。

菅野の今季の成績は?

一方、菅野の今季の成績はこちらです。

26試合 9完投 14勝8敗 勝率.636 防2.25 192.0回 189奪三振

昨年の沢村賞投手・菅野は、今季は開幕から2戦連続5失点で敗戦投手になるという厳しいスタートでした。

その直後から5連勝とすぐに持ち直したものの、昨年は4試合しかなかった4失点以上の試合が今季は8試合に増えるなど、菅野にしてはやや安定感に欠けるシーズンとなっています。

それでも完投数、防御率、投球回数、奪三振は両リーグ1位。しかも完投数、投球回数、奪三振はいずれもプロ6年目にしてキャリアハイです。

圧巻なのは9完投のうち、完封勝利をなんと7回も記録しているということ。シーズン7完封は、セ・リーグでは斎藤雅樹(元巨人)以来29年ぶりの快挙です。

さらに、通常のQS率69.2%は大瀬良に及びませんが、沢村賞におけるQS率(「7回で自責点3以内」)は61.5%と逆に大瀬良を上回って両リーグ1位となります。

ただし、今季は「ムエンゴ」というほどではないのですが、HQS(「7回で自責点2以内」)を達成しながら勝ち星がつかない試合が4試合あるなど、勝利数が14勝とやや伸び悩んでいます。

沢村賞の選考基準は、登板試合数、奪三振をすでにクリア。勝率、防御率も当確で、現時点で大瀬良と同じ4項目をクリアしていると言えます。

ところが菅野も今季あと1試合の登板が予想されるのですが、もしその試合で「自責点7以下」で完投勝利を挙げると、一気に完投数、勝利数、投球回数とプラス3項目がクリアとなります。

つまり、菅野の選考基準クリア数は最低で4項目ですが、全7項目クリアとなる可能性をまだ秘めています。

どちらが沢村賞にふさわしいか?

さて、大瀬良と菅野ではどちらが今季の沢村賞にふさわしいのでしょうか。

私は、最終登板の結果にかかわらず、大瀬良の沢村賞受賞の可能性はかなり薄いと見ています。

もし、大瀬良が最終登板で「完封勝利」という最高の結果を出した場合の成績を出してみます。(今季の大瀬良の奪三振率が7.81なので、その試合で8奪三振を記録すると仮定します。)

27試合 3完投 16勝7敗 勝率.696 防2.46 183.0回 159奪三振

はい。十分立派な成績です。しかし、沢村賞と考えるとやはり完投数3は少なすぎます。

投手分業制が確立した近年、沢村賞の選考において完投数に対するハードルはだいぶ低くなりました。

選考基準である10完投以上を記録した受賞者は、14完投を記録した2011年の田中将大(当時楽天、現ヤンキース)以降出ていません。

それでも3完投となると、2012年の攝津正(ソフトバンク)、2016年のジョンソン(広島)に並ぶ最少記録です。(このまま2完投で沢村賞を受賞すると、ワースト記録更新となります。)

ライバルと目される菅野が9完投、しかも7完封を記録している以上、今季の大瀬良の完投数は「2」でも「3」でも選考委員にとってだいぶ物足りなく見えるのではないでしょうか。

それでは沢村賞は菅野で決まりかというと、こちらも成績に大きな問題を抱えています。

それは、沢村賞の選考において最も厚いと言われている「15勝」の壁です。

沢村賞選考における「15勝」の壁

沢村賞は1947年に制定され、これまで延べ69人(複数回受賞者が13人)が受賞してきました。

ここで、沢村賞の選考基準7項目が過去の受賞者たちにそれぞれどれくらいの割合でクリアされてきたかをご紹介します。

●登板試合数/25試合以上(68/69)
●完投数/10試合以上(51/69)
●勝利数/15勝以上(68/69)
●勝率/6割以上(64/69)
●防御率/2.50以下(47/69)
●投球回数/200回以上(55/69)
●奪三振/150個以上(58/69)

ご覧の通り、過去の受賞者延べ69人中68人が「15勝以上」をクリアしています。

逆に言うと、これまで「15勝未満」で沢村賞を受賞した投手はたった1人です。

それは、1988年の大野豊(広島)です。成績はこちら。

24試合 14完投 13勝7敗 勝率.650 防1.70 185.0回 183奪三振

大野は史上最少勝利数となる13勝で沢村賞を受賞しました。ちなみに、登板試合数も選考基準である「25試合」に史上唯一の未到達と、まさに異例中の異例の受賞でした。

なぜ大野はこの成績で沢村賞を受賞できたのか。それは何と言っても防御率に尽きるでしょう。

大野が記録した防御率1.70は、セ・リーグでは1975年の安仁屋宗八(阪神)以来13年ぶりの防御率1点台で、当時非常にインパクトがありました。

かたや、今季の菅野の防御率は2.25。見事ではありますが、1988年の大野ほどの凄みは感じません。

しかも、菅野の昨年の防御率は上述した通り1.59と驚異的な数字でしたから、単純に防御率だけを見ると大幅にダウンしてしまっているわけです。

そう考えると、菅野がもしこのまま14勝でシーズンを終えてしまったら、2年連続の沢村賞を受賞することは非常に難しいと言わざるを得ません。

その場合、今季の沢村賞は一体どうなってしまうのでしょうか。

菅野が14勝なら沢村賞は「該当者なし」!

もしも今季の菅野の勝利数が14勝ということになったら、その時は潔く「該当者なし」でいいと思います。

仮に菅野が14勝で、大瀬良が最終登板で勝って16勝になったとしても、今季の沢村賞に大瀬良を選出するとどうしても「消去法」的な選出になってしまう感じがします。

私には、今季の大瀬良がセ・パ両リーグで最も優秀だった「先発完投型」の投手だとは思えません。

ちなみに一番最近「該当者なし」だった2000年は、15勝投手が両リーグに1人もいないという異常な年でした。

最多勝投手はセ・リーグがバンチ(当時中日)、パ・リーグが高卒2年目の松坂大輔(当時西武、現中日)でともに14勝。どちらも防御率はリーグ4位(バンチが2.98で松坂が3.97。)でした。

他に突出した成績を残した投手もおらず、沢村賞の「該当者なし」はいい判断だったと思います。

今回の選考委員は、この時のような潔い決断ができるでしょうか。

とにかく今季の沢村賞は、次の菅野の登板結果に全てがかかっているというのが私の結論です。

すなわち、菅野が勝てば沢村賞は菅野。勝てなければ「該当者なし」。異論は…認めません!笑

ところで、上述した通り2000年は15勝投手が1人もいませんでしたが、実は翌2001年も全体的に投手成績のレベルが低く、15勝投手は両リーグでたった1人。結局その投手が沢村賞を受賞しました。

その投手とは?

松坂大輔(西武)
33試合 12完投 15勝15敗 防3.60 240.1回 214奪三振 WHIP1.25

…ってこの選出、どう考えても思いっきり「消去法」じゃねえか!苦笑


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