中日・伊藤の防御率が壊れる。/「リリーフ投手防御率・残酷物語」1

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プロ野球の個人成績の中で、私が最も「はかない」と思うもの。

それは「リリーフ投手の防御率」です。これは記録マニアの方には、深く共感していただけるのではないでしょうか。

リリーフ投手の成績の中で、防御率はかなり重視される数字です。もしかすると、ホールド数やセーブ数よりも、その投手の信頼感を表していると言っても過言ではないかもしれません。

リリーフ投手は一般的に、先発投手よりも低い防御率が求められます。

投手の分業化が確立した最近の感覚だと、優秀なリリーフ投手の防御率は「1点台から2点台前半」、合格ラインは「2点台後半」まで、「3点台」だと不安定、「4点台」なんてのはもってのほか。

プロ野球ファンの認識は、大体これくらいの感じだと思います。

では、リリーフ投手の防御率がなぜ「はかない」のか。

リリーフ投手は、防御率の計算の元になる投球回数が少ないので、それまでの防御率がどれだけ良くても、一度の大量失点などで一気に悪化する危険性を常にはらんでいるからです。

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伊藤の防御率が壊れる。

つい最近も、そんな「はかない」出来事が起きてしまいました。

2017年9月23日、伊藤準規(中日)がDeNA戦に先発。わずか2/3回を投げて被安打7、2四死球、8失点(自責点8)でマウンドを降りました。

伊藤は今季38試合に登板していますが、35試合目まではすべてリリーフ登板で、この日が先発に回って3試合目の登板でした。

リリーフでの好成績が認められての先発抜擢だと思われますが、リリーフでの最後の2試合も含めて、実はこれで5試合連続で失点を喫しています。

ちなみに、その5試合連続失点を喫する前までの今季の成績はこちら。

33試合 0勝1敗0S9H 防1.60 39.1回 38奪三振 WHIP1.25

33試合にリリーフ登板して防御率1.60は非常に素晴らしい成績です。

では、その後の伊藤の5試合連続失点中の結果と防御率の推移をご覧ください。

8/18   3.2回 自責点3  1.60 → 2.09
8/29   3.0回 自責点2  2.09 → 2.35
9/05   4.0回 自責点3  2.35 → 2.70

9/14   6.0回 自責点1  2.70 → 2.57

9/23   0.2回 自責点8  2.57 → 3.81

こ、これは…、残酷すぎる…。こういうのを記録マニアの世界では「防御率が壊れる」といいます。

伊藤の場合は、途中でリリーフから先発に転向するというやや特殊なケースではありますが、それにしてもたった5試合の登板で、防御率が1.60から3.81まで悪化してしまいました。

シーズンが終了した時に、伊藤の最終的な防御率がいくつになっているかはわかりません。しかし、防御率が1.60だった伊藤の雄姿は、記録には一切残らないのです。

これが私の言う「はかない」です。

プロ野球界には、リリーフ投手のこういう「はかない」話がこれまでごまんとありました。

それらを「リリーフ投手防御率・残酷物語」と題して、いくつかご紹介したいと思います。なお、このタイトルのセンスのなさに対するクレームは一切受け付けません 苦笑

『たった一度の炎上で…。』岩瀬編

まず最初のテーマは『たった一度の炎上で…。』です。

1人目は、言わずと知れた通算セーブ数日本記録保持者の岩瀬仁紀(中日)です。

2007年、岩瀬はこの年もチームの絶対的クローザーとして、当たり前のように前半戦から快調にセーブを積み重ねていました。

33試合 1勝2敗24S0H 防1.35 33.1回 33奪三振 WHIP0.93

クローザーとして、何の文句もない素晴らしい好成績です。

しかし7/16、この素晴らしい防御率が「壊れる」ことになります。

7/16   0.2回 自責点5  1.35 → 2.65

なんと、わずか2/3回を投げて自責点5。たった1試合の炎上で、防御率が約2倍になりました。

さらに、その後2試合の結果と防御率の推移がこちらです。

7/17   1.0回 自責点0  2.65 → 2.57
7/24   0.2回 自責点3  2.57 → 3.28

なんということでしょう!岩瀬は約1週間後の7/24にも、2/3回を投げて自責点3と再び炎上。ついに防御率が、クローザーとしては屈辱の3点台に突入してしまいました。は、はかない…。

とは言え、そこはさすがに百戦錬磨の岩瀬。その後シーズン終了までの25試合で、わずか自責点3と完全に立ち直りました。

2007年の岩瀬の最終成績はこちら。

61試合 2勝4敗43S3H 防2.44 59.0回 50奪三振 WHIP1.05

岩瀬にしては、防御率2.44は決して低い数字ではないのですが、それでも何とか2点台前半にまとめ、43セーブを記録しました。

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『たった一度の炎上で…。』押本編

2人目は、かつて中継ぎ投手として活躍した押本健彦(当時ヤクルト)です。

2008年、日本ハムからヤクルトに移籍してきて1年目の押本は、セットアッパーとしてなんと開幕から24試合連続自責点0を記録します。

その後、徐々に防御率は悪化しましたが、なんとか好成績を維持していました。

46試合 4勝2敗1S24H 防1.72 47回 38奪三振 WHIP1.02

しかし8/4、この押本にも岩瀬同様の悲劇が起こってしまいます。

8/4   0.0回 自責点6  1.72 → 2.87

なんと一死も取れずに、自責点6の大炎上。さらに続けて次の試合で…。

8/6   1.0回 自責点1  2.87 → 3.00

あっという間に、押本も防御率が3点台に突入してしまいました。は、はかない…。

しかも押本の場合は、中継ぎとして開幕からフル回転するのはこの年が初めてで疲労もあったのか、この後さらに防御率は悪化しました。

2008年の押本の最終成績はこちら。

67試合 5勝6敗1S27H 防3.34 72.2回 46奪三振 WHIP1.21

67試合登板、27ホールドはもちろん立派ですが、やはりセットアッパーとしてこの防御率は物足りないと言わざるを得ません。

開幕からの24試合連続自責点0の記録は、一体何だったのでしょうか…。

さて、リリーフ投手の防御率の「はかなさ」をご理解いただけたでしょうか。

この後、あと4つのテーマで7人の投手の残酷物語をご紹介したいと思っています。あなたは一体、どこまで耐えられるでしょうか…?笑

次回は「リリーフ投手防御率・残酷物語」第二部をご紹介します!


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